どういうことだろうか
今日 太陽と月を間違えてしまった
マンハッタンから 北へ電車で1時間半の 小旅行
DIA:Beacon美術館をめざして
ハドソンリバー沿いを電車が走る
小さな山たちは 河に反射し
水平線とは異なる カーブを水中に描く
北へ向かっていくと 雪が積もり始め
河を覆っていた氷のかけらたちが
ひび割れながらも 団結して 河辺に集まってくる
Beacon駅 下車
白い息を吐きながら
グレー色の空の様子を伺う
DIA:Beacon美術館のなかでは
アートも わたしも
細工された窓を通じて 真っ白く差し込む
気まぐれで表情豊かな自然光を浴びる
ふと 窓の外を見上げると
お月様がみえる
「いや、どう考えてもこの時間帯に見えるのは太陽だよ」
美術館係員に断言されたものの、どうみても月にしか見えない
現代アートの無限の表現力を感じ
太陽と月を間違えるほど 感覚がうすれ
うすれた感覚の意識は 無意識に強まる
アートと自然に触発されたこの日
マンハッタンへの帰り際には
太陽も月も健在だった